今季、爆発的に増えたチュウゴクアミガサハゴロモについて、ここで何度か取り上げたことをまとめます。
「茶色の三角形をした、翅があって飛ぶ虫が庭木や網戸にとまっていたりするけど、あれは何ですか？」と聞かれることがとても増えました。
数年前までは、名前も付いていなかったのですが、姿が在来のアミガサハゴロモに良く似ているので、チュウゴクアミガサハゴロモという長い名前が付けられました。
この虫が属するカメムシ目ハゴロモ科には数種類いて、人を刺したり毒があるわけではないので、人に対しては無害ですが、セミやカメムシと同じように、とがった口を植物に突き立てて汁を吸います。
窓ガラスにとまった腹側を撮影したもの。セミと同じような姿をしています。
このチュウゴクアミガサハゴロモは、特定の植物に集まるわけではなく、多様な植物に付きます。果樹や茶の木にも付いて深刻な農業被害をもたらします。ですから、繁殖が確認された地域では、病害虫が発生した時に出される「特殊報」が発令され、注意を呼び掛ける騒ぎになっています。
昨年から急に目につくようになったので、見たことがある人も多いと思いますが、幼虫と成虫を結び付けている方は少ないと思います。
成虫と幼虫
幼虫は白いレース状のドレスを身にまとっているかのようで、触ろうとするとピンとけっこう遠くまで跳ねます。この白いレース状のドレスは蝋物質で出来ていて、捕食者から身を守るためのもののようで、取れてしまっても死んでしまうわけではなさそうです。成虫は羽化したばかりの時は黒いですが、時間が経つと茶色になり、翅が硬化して飛べるようになります。捕まえようとすると飛び立ってしまうので、捕まえるのはなかなか難しくなります。
レース状のドレスが情けなくなった幼虫
羽化直後の翅は黒い
効果的な殺虫剤が無い状況なので、1匹1匹捕殺するという前近代的な方法で退治することになります。
（ネット上では、蚊を撃退する「電撃ラケット」の使用や、ハンディクリーナーに隙間掃除用の吸い口を付けて吸い取る方法が効果的という書き込みがあります）
このところ気温の低下で、成虫の姿が減ってきましたが、逆に目立つようになったのが、木々の枝に産卵した痕跡です。皆さんの家の庭の木々にも、きっとあると思います。
白いふわふわした糸くずのようなものが付いている箇所が卵を産み付けた場所で、その部分のささくれだった樹皮をカッターナイフで削ると、枝の中心部あたりにきれいに整列した卵が見えてきます。
来年の初夏、この卵から沢山のチュウゴクアミガサハゴロモの幼虫が誕生してきます。初夏に誕生したものが産卵し、その卵から晩夏に羽化したものが、今の時期に産卵するという、年に２化するようです。
産卵する木の種類はさまざまで、我が家の庭では柿の木、つつじ、金柑、みかん、紫陽花、梅など、ほとんどの樹木の小枝（今年伸びた、柔らかい小枝に多いようです）に見られます。
庭のグレープフルーツの枝に産卵中のチュウゴクアミガサハゴロモ
産卵する枝が横向き（地面と平行）の場合は、ぶら下がるようにして産卵するので、産卵痕は枝の下側になるので、低木の場合は、しゃがみこんで見ないと見つけにくくなります。庭木をチェックして、このような白いふわふわした糸くずのようなものが付いた産卵痕を取り去っても、枝の中に産み付けられた卵はそのままなので、産卵痕の下で枝を切り取り、家庭ごみと一緒に焼却処分をしてください。
今が産卵のピークですから、数日ごとに、何度かチェックしてください。
庭の金柑で見つけた産卵痕がある小枝を切り取ったもの（数日前に一度チェックして切り取っていたのに、このありさまでした）
自宅の庭が知らぬ間に発生源になってしまわないよう注意しましょう。
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この記事へのコメント
hal-co
夏前の卵はゴミ出し前に孵化することもありそうで，切り取った卵付き枝を頑丈な密閉袋（冷凍用チャック付きPP袋）に入れて，可燃ゴミで出しました。
今は気温も低くなってきたので孵化の確率は低そうなので，普通のポリ袋に入れて口をしっかり縛って可燃ゴミで出しています。
とにかく，卵が多くて，昨年までの「見えたら切除」程度の卵駆除では次年が思いやられることがわかったので，がんばっています。
メンバラ
庭木チェックをした翌日にも、また新たな産卵痕が見つかるという毎日ですね。これは相当に手ごわい相手で、1個人が立ち向かえるレベルではないですね。