観察例がきわめて少ない稀少種ということで話題になっていた、千葉県内に現れたヤブヨシキリ。
「ウグイスに似ている」という印象を持つ人が多かったように思います。ウグイスとヤブヨシキリの相違点について、ネット上では「眉の長さ」「尾羽の枚数」「尾羽の長さ」が挙げられています。そう言われて、そのポイントを画像で比べてみようとしても、手元の画像できちんと比較できるのは「眉の長さ」です。
ヤブヨシキリ。眉は目の端で止まっています。
ウグイス。眉は目のかなり後方まで伸びています。

尾羽の長さも、ウグイスの方が長いような気がします。
ヤブヨシキリが過去に捕獲された記録に「尾羽の数は12枚」とあり、撮影した画像の中に、11枚までは数えられるものがありました。一方、ウグイスの尾羽の数が分かるものを手持ちの画像の中で探すと、ヤブヨシキリほど尾羽を広げることが少ないのか、かろうじて比較できるものは数枚でした。図鑑には「ウグイスの尾羽は10枚」とあり、ヤブヨシキリの尾羽の数はウグイスの10枚よりは多いことが分かります。
※「ヤブヨシキリ」の尾羽が12枚という根拠は、日本鳥学会誌に発表された、2013年12月26日受付、2014年2月受理の 小田谷嘉弥・尾崎清明・仲村昇・齋藤武馬の、「観察記録 新潟県福島潟におけるヤブヨシキリ Acrocephalus dumetorum の捕獲記録」によるものです。この論文発表時点では国内記録の4例目、本州本土初記録だったようです。
ヤブヨシキリ。どちらも尾羽は11枚まで数えられます。(1枚欠落?、重なっている?)
ウグイス。図鑑の解説どおり、尾羽は10枚のようです。
撮影した時点では、識別点がどこにあるのかも知らずにただ撮っていました。あとから識別点が分かっても、狙って撮れる識別点と、狙っても、なかなか撮れない識別点がありますからね~。
国会図書館所蔵の別の資料を請求中なので、新たなことが分かったら、追記します。
【2025-03-18 追記】
国会図書館に資料請求していたのは、先に記した、小田谷嘉弥・尾崎清明・仲村昇・齋藤武馬「観察記録 新潟県福島潟におけるヤブヨシキリの捕獲記録」の「引用文献」にあった「バンダーニュース」39号―シベリアヨシキリ―でした。遠隔地申請で当該資料のPDFをダウンロードして読んでみました。おふたりのバンダーが、調査(沖縄の久米島と北海道の福島町)でシベリアヨシキリを実際に捕獲したときのことを書いていました。しかし、上記の識別点や尾羽の枚数に関する記述はありませんでした。
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