2006年12月に公表された環境省鳥類レッドリストで、オオタカが絶滅危惧II類(VU)から準絶滅危惧種(NT)にランクが変更になったのは記憶に新しいことですが、さらに生息数の回復によって国内希少野生動物種の指定から外されることになるかもしれないというニュースが流れています。明後日開かれる委員会では、次の検討がなされるそうです。
中央環境審議会自然環境部会野生生物小委員会の開催について(お知らせ)
平成25年5月15日(水)に中央環境審議会自然環境部会野生生物小委員会が、下記のとおり開催されます。
日時:平成25年5月15日(水)10:00~12:00場所:経済産業省別館1階108号室
(東京都千代田区霞が関1-3-1)議題(予定):[1]国際希少野生動植物種の追加等について(諮問)
[2]狩猟鳥獣の指定の解除等について(諮問)
[3]種の保存法改正案及び絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略について
[4]オオタカの国内希少野生動植物種からの削除の検討について
[5]その他
オオタカは営巣に適した場所の減少に伴って生息数が減少したため、1993年に希少種に指定され、各地で営巣場所の保全活動が積極的に行われるようになりました。
2000年から環境省が実施したオオタカ保護指針策定調査の結果として、2005年12月に生息分布、繁殖個体数等を発表しました。この時の調査は全国を10㎞四方の升目で4391メッシュに分け、その37%にあたる1630メッシュからの情報に基づいて、全国のオオタカの繁殖個体数は、少なくとも1824~2240羽であると推定しました。(幼鳥と繁殖に加わらない個体を除外しています)
その結果を踏まえて、この時の環境省は、日本野鳥の会が1996年におこなったアンケート調査では、全国の棲息個体推定数を「1000羽以上」だったので、それを上回る数になっているが、これまで調査が行われなかった地域で実施したことにより新たに生息が確認できたためで、繁殖個体数の増加を示すものではないと、慎重な態度でした。
ところが、今回の指定から外されるかもしれないという新聞記事によると、2008年に実施した専門家による調査で、関東地方とその周辺だけでも5800羽ほどいるという結果が出たそうで、環境省は”安定的に数が増えてきている”という楽観的な認識に変わったのでしょうか。
5月4日の記事の画像と同じですが、クリックすると、それよりも大きくなります。
【5/17 追記します】
オオタカは希少鳥獣から除外されるのはほぼ確実なようで、委員会開催のニュースは、オオタカよりもウズラが「希少鳥獣」に指定されたということのほうが大きく報道されました。
ウズラと言っても指定されたのは野生のもので、中華料理に入っているウズラの卵を採るために飼育しているものは含まれません。2007年から狩猟禁止にはなっていましたが、ほとんどの自治体で狩猟の対象になっていました。昨年8月に公表されたレッドリスト改訂版では絶滅危惧Ⅱ類に指定され、今回やっと特に保護が必要な「希少鳥獣」に指定されることになりました。
希少種だからと手厚い保護をした結果、増えすぎてしまった例にカワウが挙げられます。カワウは1950年代には関東地方だけでも7000羽ほど生息していたと考えられていたものが、1971年になると、全国で3000羽以下に減少し、保護されるようになりました。現状を見る限りでは、元の状態にもどり戻りつつあるのかもしれません。しかし、カワウは水域高次捕食者ですから、有害化学物質の蓄積によって、また数を減らす可能性を指摘する人もいるようです。(オオタカだって肉食ですから、有害物質蓄積の危険性はあるわけです)
保護政策が実施されても、成果はすぐにあらわれません。天敵の存在、どういう環境を好んで営巣するか、卵はふつう何個産むか等の繁殖の形などが複雑に絡み合っています。
評価されるのは5年とか10年後ですから、注意深く見守っていくほかないようです。
この記事へのコメント
POPO
MFも、毎年繁殖してますから、増えてきてるんでしょうね!?
マイ野鳥図鑑
fujio
増えているんでしょうね~。
とりあえず鳥でも
メンバラ
個々に返信する代わりに、追記しましたので、ご覧ください。