ツツドリと言えば、「ふつう」なのか「赤」かという、体色が気になりますが、毛虫を食べていると言えば……。 ほとんどがこの黒い毛虫を咥えている、この姿ですね。
このよく見る黒い毛虫は、モンクロシャチホコという、桜を食害する蛾の幼虫がほとんどです。
よくもまあ、こんなにたくさんいるのかと思うほど、この毛虫はたくさんいます。落としたフンで、下の道路や地面が赤くなります。
パクッとひと呑み。
ツツドリが来てくれなければ、桜は丸坊主にされてしまいます。食物連鎖がうまいこと循環しているのです。ここが公園だとすると、公園管理者は毛虫が発生するや、すぐさま大規模に樹木を消毒する手はずを整えてしまうところがほとんどです。そういうところは、下草もきれいに刈り取られて、見た目はとてもきれいです。
特に今の時期、夏の間に繁茂した植物が目立つために、きれいさっぱり刈り取る作業が本格化します。業者にとっては書き入れ時です。地域によっては、業者を使わずに「シルバー人材活用」の名のもとに行なわれる清掃作業で、雑草の刈り取りから、落ち葉掻きまで徹底的に実施して、生えている木しか残さないことが最善だと考えているとしか思えないような公園があるのには唖然とします。
ところが、雑草が生えていない、きれいに整備された公園を目指していくと、どんどん生き物が少なくなります。餌にする虫が少ない公園には野鳥も来なくなります。野鳥が来なくなれば、本来は野鳥に食べられていなくなるはずの虫が減らず、食害ばかりが目立つようになるわけですから、消毒する以外、方法が無くなります。悪循環に陥るのです。きれいに整備された公園の池にカワセミがいれば、自然豊かな公園だと思ってしまうのは大きな間違いだと思います。
公園に限らず、河川の土手や茂みなど、一見、雑草が繁茂している所には、たくさんの生き物の幼虫がいたり、卵が産みつけられています。それを根元からきれいさっぱり刈り取って、ゴミにして持ち去ってしまうと、確実にそのエリアの生態系が壊れます。
繁茂して鬱陶しいから、害虫だから駆除すればいいと、見た目最優先の環境整備と言う名のもとにおこなわれる作業によって虫の発生を抑えれば、それを餌とする鳥や他の昆虫類も次第に数を減らしていかざるを得なくなるということに、もっと危機意識を持ってほしいものです。
皆さんが撮影で訪れる公園が、整備されすぎだという実感はありませんか?
この記事へのコメント
健康法師
fujio
我が方の公園も下草が綺麗に刈り取られているので、鳥の隠れる場所が無くなってしまった感じがします。
サラ&メル
メンバラ
そうですね、植物の問題もありますね。昆虫との兼ね合いで見ても、食草が種を散らす前に、根こそぎ刈られてしまうと絶滅ですからね。
fujio*さん
やはり「公園」という名が付くと、奇麗に環境整備しないと住民から文句が出るんでしょうかね。
サラ&メル*さん
おっしゃるように「植生や生態が単純化して種類までが限られてくる」というのが一番の問題でしょうね。声を大にして言う人が多くなれば、変えていける気もしますね。